理由③空き家が招くトラブルと行政の規制強化

屋根瓦が飛んで道路に落下。瓦を踏んだ自転車が転倒し、乗っている人が怪我をした。瓦が車に当たって破損させた。普通では起こりえない話ですが、特に劣化の著しい家屋では、壁の崩落や家屋自体の倒壊などにより、他人に危険を及ぼす可能性が否定できません。

空き家といえども所有者には「施設の管理責任」があります。当然、管理責任者として、怪我をされた方や壊れた車の所有者から賠償責任を問われることになるでしょう。定期的な空き家の管理を行い、これらの危険要素を早めに取り除いていくことが、無用の事故やトラブルの防止には欠かせません。

昨今では、空き家問題が社会問題として大きく取り扱われるようになり、防犯や景観上の観点から、そして老朽化した空き家の存在が地域社会に与える危険性を鑑み、「空家対策特措法」も制定されました。危険な空き家の所有者に対して、空き家の適正な管理の指導、勧告、命令を行い、従わない者に対しては氏名や住所を公表し、所有者の費用負担による空き家の撤去(行政代執行)まで行う・・・国や地方自治体もそのような厳しい姿勢で空き家問題に取り組んでいます。空き家の増加というものが、地域社会の安全や持続的な発展に対して極めて憂慮すべき問題となっている証左と言えるでしょう。

また、目の届かない空き家は、庭木の隣家への越境やゴミの不法投棄による異臭など、図らずも近隣住民とのトラブルを招いてしまう恐れがあります。遠くてなかなか家を見に帰れない・・・では済まされない時代なのです。